生産性を高めたい?それでは「ランチ会」で雑談しましょう

人材の確保が難しい

終身雇用の風潮が薄れ、日本のビジネスシーンでは人材の移り変わりが激しくなってきました。有能な人ほど現職より良い待遇の環境を求めて転職しているのが実情です。自分の才能の発揮するためにフリーランスになる人も珍しくありません。まさに実力主義と呼ばれる時代に相応しい変化を遂げているのです。

 

その影響を受けて、各会社は現状の人材をこれまで以上に重視するようになってきました。新しい戦力を確保することも大切ですが、既存の社員の流出を防ぐことも同じぐらい大切です。社員たちが最大限の実力を発揮するための環境づくりも欠かせません。それらを実現する方法として会社でランチ会を実施するケースが増えてきました。

 

人材確保の施策「ランチ会」

そのような試みを実施する狙いは、コミュニケーションの活性化にあります。コミュニケーションがとれていないと、どれだけ有能な社員が集まっていても、十分な成果を出せないことが多いです。たとえば10の仕事ができる社員が3人いたとして、彼ら全員が同じ10の仕事を行っていたら、その仕事の成果はやはり10にしかなりません。しかし、しっかりと意思の疎通を行って被らないように仕事をこなせれば、仕事の成果は30になります。それどころかお互いにフォローし合えば、50や100の成果だって達成できるかもしれません。全員が気持ちを共有しやすくなり、互いを尊重し合うことでチームワークが生じます。その結果、会社を辞めたいと考える社員を減らす効果も得られるのです。

 

変に空気を読みあって、効率が悪くなっている会社は少なくありません。たしかに、互いの考えを察して遠慮することは日本人の美徳といえます。しかし、ビジネスの世界では積極性が何よりも求められます。待っているだけで仕事が舞い込んでくる時代ではないことを認識する必要があります。しっかりと会話をすることで、相手の考えが分かるようになり、空気を読みあう駆け引きも不要になるのです。

 

あえて会社でランチ会を行うことを不思議に思う人もいるでしょう。仕事が終わってからの飲みニケーションで十分だと思う人もいるかもしれません。たしかに単純に親睦を深める目的であれば、そちらだけで問題はない場合も多いです。

しかし、会社の生産性を上げるという観点からは好ましくない点があります。それは会社から出たことにより、職場への帰属意識が薄れてしまい、仕事とは関係のない話がメインになりがちということです。それどころか、その場にいない上司や同僚に対する愚痴を言い合う機会なってしまうことも珍しくありません。ネガティブな気持ちを吐き出すことで気分はすっきりしますが、その場にいる全員に会社に対する嫌悪感の種を植えつけてしまいます。そうなると、会社に魅力を感じなくなる人もいれば、職場ではできるだけ会話を控えようと考える人も出てきます。したがって、毎日のように仕事帰りに飲みにいくのは必ずしも良い習慣とはいえません。

 

一方、会社でランチ会をすれば、そのようなネガティブな雰囲気が蔓延することは避けられます。あくまでも職場にいるのであって、そこへの帰属意識が薄れる心配はないのです。必然的に仕事を意識した会話が多くなり、飲み会のような雑然とした状況にならず、有益な情報交換の場として機能してくれます。

 

生産性の向上には雑談が必要なのです

そう言われると、仕事のミーティングのように感じられて、わざわざランチ会として行う意味はないと考える人もいるでしょう。しかし、両者には決定的な違いがあるので覚えておきましょう。ランチ会では、各社員の普段とは違った一面を見られる機会が多くあります。仕事以外のことに触れても構わないので、慣れてくると話題の幅が広がってきます。つまり、仕事の情報供給をしながら親睦を深められるので、仕事面での連携を良くする効果を期待できるのです。

 

そのため、会社が主導となってランチ会をセッティングすることも多くなりました。たとえば、同じ部署の仲の良い社員同士だけでなく、他の部署の顔見知りでない社員と食べるような組み合わせにします。そうすることで、部署の垣根を超えた連携を実施するためのベースを築いていけます。

 

大きな意味では会社は一つの組織ですが、各部署は必ずしも仲間という意識を持ってはいません。ライバル関係にあることも多く、足を引っ張ろうとするぐらい敵対心を持っているケースも見受けられます。そのような部署ばかりであれば、会社の生産性が高まっていくことは期待できないでしょう。しかし、経営者がいくら連携するように指示を出しても、人の感情までは変えられないのが実情です。むしろ、内面では反抗するような感情が芽生えるかもしれません。そのようなリスクを回避する意味でも、ランチ会を推奨することには大きな意味があります。会社が費用を援助する制度を設けることで、積極的に参加しようとする社員は増えることが多いです。会社としてはそれくらいの支出を伴ってでも実施していく価値があります。