日本人にあったコミュニケーション、それは「飲みニケーション」

日本人に合ったコミュニケーション方法「飲みニケーション」

日本人は以前から、職場とは異なるお酒を飲む場所を使って、同僚や上司との仲を深めているといえるでしょう。お酒を飲むこととコミュニケーションを合わせて、飲みニケーションと呼ばれる造語までつくられましたが、職場という一つの組織の中でコミュニケーションをとる方法として、重要な習慣になってきています。

 

しかし現代では部下の付き合いが悪いという上司の声が聞かれたり、上司が無理やり飲ませてくるなどといった部下の声も多くなってきていて、なかなか難しいのが現状です。その半面で営業部門などは個々の外出も多くなるため、飲みニケーションのような場があれば、組織の一体感を高めることにもつながるでしょう。

 

職場によっては飲みニケーションが難しいので、会社でランチ会を行うといった仕組みを作っているところも多いかもしれません。会社でランチ会も、飲みニケーションの一つともいえます。

飲みニケーションを行うことで得られる効果としては、普段はできない話ができることが挙げられます。普段の職場では、仕事中ということもあり、仕事に直接関係のない話はなかなかできないケースが多いでしょう。特に役職が離れている人となると、話をする機会さえないのが現状です。

 

現代の「飲みニケーション」は「ランチ会」

ランチ会のような場を設定することにより、普段はあまり話すことのない、また接することさえもない上司や先輩の話を聞くことができたり、意見交換をするチャンスにもつながります。なぜこの会社に就職したのが、それまではどのような仕事に携わってきたのか、将来的にはどのような考えがあるのかなどを、フランクに聞くことができるかもしれません。また役職が高い人しか知らないような情報も、会社の中ではなかなか聞くことはできないかもしれませんが、お酒が入った席であれば話を聞くことにもつながります。上の立場の人たちにとっても、ふだんはあまり聞くことができない部下や後輩などの本音を聞ける一つのチャンスといえるでしょう。反対に部下にとっても、普段はあまりいうことのできない要望や疑問などを投げかけるチャンスになります。

 

さらには人とつながることができることも大きなメリットです。ふだん話す機会がない人や、同じ職場でも関係が薄い人と話すきっかけが作れることは、大きなメリットとなります。飲み会の場ともなると、多くの人がアルコールが入っているので、知らない人でも何となく話してみたいという気持ちが出てきます。このように相手の情報をたくさん知ることで、親しみもわいてくるでしょう。このような気持ちから相手との距離も近くなり、親近感がわいていくのです。会社でたくさんの会議を行うよりも、一緒に食事をしたり飲んだりした方が親しくなれるという研究結果が出ていることから、飲みニケーションはコミュニケーションの活性化に役立っていることがわかります。

 

いいことだらけに見える「ランチ会」にもデメリットがあります

しかしメリットはあるものの、デメリットも少なからずあるので、これらに注意して行う必要があるでしょう。まず第一に金銭的な負担が挙げられます。上司と部下のコミュニケーションのためにお酒の場を利用するとなった場合には、金銭的な負担は生じます。家庭を持っている上司の場合には、お小遣い制になっている家庭も多いものです。

 

以前までは上司と部下の食事の場では上司がおごることが当たり前のようになっていましたが、近年では割り勘に設定したり、上司が少し多めに負担するなどのケースも多く見られます。このような場が増えるということは、上司も部下もどちらにとっても金銭的な負担がのしかかるということです。

 

そして金銭的な負担とともに、時間的な負担も少なからずあります。もしも飲み会の時間が長引いてしまったり、何軒もはしごしてしまったりした場合には、どうしても拘束時間は長くなってしまうことでしょう。これにより家庭を持っている場合には家族だんらんの時間がなくなってしまったり、一人暮らしでも趣味の時間や友人、恋人と過ごす時間を削ることになります。

 

また上司の自慢話や説教に付き合わされることに、精神的に負担を抱える部下も多いものです。特にお酒があまり飲めない人にとっては、このような場は精神的に苦痛を感じる時間かもしれません。場合によってはこのような会が行われる際に、どうしても都合が悪いこともあるでしょう。中には嘘の予定を作り断っている人も見られます。しかしせっかく誘いを受けたのにそれを断るのはあまり気持ちの良いものではありません。それは断られた方も同じ気持ちがあり、どうしても都合がつかず断らなければならなかったとしても、ともにぎくしゃくとした雰囲気を作り出すことになってしまいます。

 

このようにメリットもあればデメリットもあることがわかりますが、実際には会社が費用を負担したり、説教を禁止する、必ず1次会で解散するなどといったルールを作っているところもみられます。このような取り決めがあれば、心から楽しむことができる親睦の場にすることができるでしょう。